国民健康保険と任意継続

~ フリーランス(個人事業主)の健康保険 ~

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会社員の年金は、健康保険組合や協会けんぽですが、フリーランス(個人事業主)として独立すると、国民健康保険に加入することになります。
会社員なら最低でも半分は会社が負担していてくれた保険料は、国民健康保険では全額自分で支払わなければなりません。
従って、健康保険の保険料は一般的に社保(被用者保険)のときよりかなり高くなってしまいます。

国民健康保険の保険料

国民健康保険は、住んでいる市区町村によって保険料率や計算方法が異なります
自分が住んでいる市区町村のホームページなどで、計算方法を確認してみましょう。
国民健康保険は、一人ずつではなく世帯単位で計算されますが、計算方法に使われる一般的な項目は、次のようなものです。
・世帯別平等割 世帯ごとに決まった額
・被保険者均等割 国民健康保険に加入する家族の人数で決まる金額
・所得割 前年の収入額によって変動する額、料率は市区町村によって大きく異なります。
・資産割 固定資産税に対して計算される金額。
世帯別平等割や被保険者均等割の金額も市区町村によって異なるのですが、収入アップを前提として独立するフリーランスにとっては、所得割の料率が高い地域だと保険料もかなり高額になるといえます。
住んでいる地域や収入によって、国民健康保険の納付額が上限(39歳以下の人で52~53万円が多いようです)に達することもあり得ます。
また、土地や家などの固定資産がある人も、資産割の設定がある地域にでは、高額な保険料を納付しなければなりません。

国民健康保険法施行令の一部改正によって、平成25年度から保険料の所得割額の算定方式が全国で統一されることになり、これまで「住民税方式」で保険料を算出していた自治体も「旧ただし書き方式」での算出に変更されます。
旧ただし書き方式とは、昭和36年度から昭和38年度までの間、市町村民税の所得割の徴税方法として採用されていた方式で、当時の地方税法の条文のただし書のところに規定された課税所得金額による算定方法です。保険料は、所得から基礎控除額を差し引いた金額を基準に算出されるため、住民税額を基準に算出される住民税方式の所得と比べ税制改正の影響を受けにくくなります。

旧ただし書き方式では、所得から基礎控除を引いた額が所得割額の算出基準となるため、これまで住民税方式を採用していた地域にお住まいで、「小規模企業共済」や「確定拠出年金」などの所得控除額が高い方は、国民健康保険料が大幅に上がる場合があります。

また、これまで一部地域で使われていた「資産割」は、算定方式の変更にあわせて平成25年度からは廃止されています。

任意継続

国民健康保険の保険料があまりにも高い場合は、社保の任意継続を利用しましょう。

任意継続とは会社を退職するなどで社保の被保険者の資格を喪失したときに、個人の希望により一定期間はそのまま被保険者となることができる制度です。
協会けんぽの場合は、2ヶ月以上の被保険者期間があれば資格喪失日から20日以内に申請することで2年間は任意継続が可能です。

任意継続は個人で保険料を支払うことになるので、それまで会社が負担していた保険料も自分で支払わなければなりません。
会社の負担割合が50%だったなら、任意継続の保険料は退職時に負担していた保険料の倍になる計算です。
但し、決められた上限額以上は払う必要がありません。
(協会けんぽの上限額は地域により異なりますが、平成23年4月時点の最も高額な地域で26,880円です。)

国民健康保険の保険料はなぜ高いのか?

国民健康保険は、健康保険組合や協会けんぽと比べて保険料が割高です。
社保は保険料を会社が負担している部分があるから自己負担の保険料が安いのは当然です。
しかし、会社負担分がない任意継続の保険料と比べても、国民健康保険の方が高いということもよくあります。
しかも、健康診断や予防接種の助成などの特典も手厚くありません。
社保との金額の差は納得がいかないと感じる方も多いでしょう。
なぜ、国民健康保険の保険料はこんなに高いのでしょうか。

その理由が、医療保険制度の概要図を見ると分かってきます。
医療費は病気やケガが少ない若年層よりも高齢者の方が高い、ということを念頭において次の図を見てください。

公的医療保険制度の概要図

図にあるとおり、会社員の健康保険組合や協会けんぽは、会社員やその家族の医療費を負担しますから、ほとんどは若年層です。
そして会社を定年退職して、つまり医療費が高い高齢者になって国民健康保険に加入します。

会社を定年退職した人も、自営業の人もほとんど全ての高齢者が国民健康保険に入ることになるので、国民健康保険だけが他の保険より高齢者の割合が圧倒的に高くなり、負担する医療費も高額となるのです。
若いうちから国民健康保険を払っている人(自営業者)は、国民健康保険を払い続けて老人となった人の医療費を負担しているだけでなく、サラリーマンを定年退職した老人の医療費も負担してあげていることになります。
これが、国民健康保険の保険料が健康保険組合や協会けんぽと比べて割高なことの大きな理由です。

本来ならば、全ての若年層は高齢者の保険料を平等に負担しなければなりません。
それなのに、現在の日本の医療保険制度では、サラリーマンは高齢者の医療費をほとんど負担せず、国民健康保険の自営業者だけで高齢者の医療費を負担せねばならなくなっているのです。

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